リングをモップで磨いていると電話がなりました。
「コーチ受かりました!」電話の先にいる涙声の彼は サネ君、鹿児島からの電話でした。
彼は、中学から不登校になり高校1年生にあたる時期に福岡のフリースクール玄海に入寮し、そしてスタービーに通ってくれました。
昨日、今日の合格発表を翌日に控えながら、わざわざ鹿児島からにあいさつに来てくれました。
「試験の手応えは?自信は?」との私の問いに「まぁ、ギリギリだと思います」と返事していました。
久しぶりに会うメンバーと楽しそうに会話をする彼からは、受験を乗り切った充実感を感じました。
フリースクール玄海では勉強はもちろんですが、心身を鍛えることも重要なカリキュラムとなっています。
その中で、プロレスやマラソン、ボランティア活動・・・様々な活動の中で彼は多くの時間をボクシングに注いでくれました。
スパーリング大会で対戦相手に負けたこともありました、練習中の実戦練習でダウンしたこともありました、いっぱいいっぱい苦しいこともありました。
ですが、優しくて真面目で努力家の彼は、どんなことがあっても前を向き、また前進することを止めませんでした。
フリースクール玄海を立志(卒業)してから1年半で彼は、普通に高校3年間通っても難しい難関の鹿児島大学医学部を現役合格しました!
その、1年半の努力と苦労がどれほどであったか想像することも難しいです。
フリースクール玄海を卒業して、高校には行かずに、毎日毎日本当に1日中勉強に励みました。
高校に行ってなかった彼が、普通に高校生活を送っている子供達が経験しないであろうたくさんの出来事を経験し、
普通に高校に通っている子供達が、出会うことが出来なかったはずの人間と出会い、変化していきました。
言っててみれば、みんなが当たり前に登る山を登らず(登れず)に、違う山を山頂まで登りきり、その途中でたくさんの経験を積みました。
別の山の山頂にたどり着いた時の充実感と達成感を引っさげて、またその途中で身に付けた「生きて行く力」を存分に発揮して、もとの山に挑戦しました。
強くなった彼は迷うことなく、一気に倍速以上のスピードで頂上まで登りました。
回り道をしたように見えて、普通に進学していたら出来なかった経験、見ることが出来なかった景色、感じることがなかった感動、そして仲間、との出会いを得ました。
決して回り道ではなく、必要な必然なことだったんだと思います。
与えられた環境の中で、いかに知恵を絞り努力をして、成長することを考えるか・・・・大切ですよね。
人や環境のせいにして、自分の努力不足を覆い隠していては、決して人として成長することは出来ないと思います。
タラレバを無くして突き進む!彼に大切なことを教わりました。ありがとう。
彼の存在は、フリースクール玄海の後輩たちにどれだけの勇気を与えてくれることでしょう。
そしてスタービーの先輩や後輩達にどれだけの感動を与えてくれることでしょう。
彼は、一番大切だと思われる、「努力を継続することが出来る才能」を持った人です。きっと一流の人間になれると信じています。
フリースクール玄海での生活とスタービーで仲間に恵まれ、ボクシングを通じて学んだすべての事が彼を強くしてくれたことを嬉しく思います。
人に優しく、自分に厳しく、何時も素直で、常に物事を吸収しようとする姿勢が溢れている彼に、乾杯!!!!!
午前10時を過ぎてまだかまだかと、ビクビクしながら待った嬉しい電話でした。
つらいことが多い最近でしたが、久しぶりにうれし泣きしました(^-^)
「カッコいいに近道なんてない!」